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地域のママたちとの共創。オプテージが摂津市で始めた「空き家プロジェクト」とは

プロジェクト① 空き家があるまちの未来

2019.10.16
地域のママたちとの共創。
オプテージが摂津市で始めた「空き家プロジェクト」とは

日本の人口減少に伴い、いわゆるベッドタウンと呼ばれる地域でも、人とまちの活力の低下が問題となってきています。こうした現状に対し、オプテージが始めた社会課題の解決と地域活性化に向けた取り組み。

その一つが進む大阪府摂津市では、子育てママを「地域内のつながりを多く持つ地域活性化のキーマン」と捉え、ママたちの活躍の場を作るプロジェクトに着手しています。その拠点として利用を試みているのが、近年社会問題化している「空き家」。共創のパートナーとして迎えたのは、摂津市で子育てママの習い事イベントを企画・運営するママサークルの「マミー・クリスタル」です。
今回は、このサークルの創設者・新田昌恵さんと代表の松田綾子さんの2人をお招きし、「空き家プロジェクト」の推進状況と経緯、これからの展望について座談会を行いました。

(聞き手/オプテージ 霜野佑介、下田平卓也)

空き家をママの活躍の場に!地域サークルと進めるプロジェクト

――オプテージとマミー・クリスタルが始めた「空き家プロジェクト」とはどのような取り組みなのですか?

霜野:摂津市内の空き家を活用して、カフェやイベントスペースとなる地域コミュニティの拠点となる場を作ることを目指しています。
この拠点を利用するメインのターゲットとなるのが地域の子育てママさん。運営はマミー・クリスタルさん、ハード面やインフラの整備、スペースの運営やユーザーの利用をスムーズにするためのITツールの開発をオプテージで、という役割分担で協業スキームを検討しており、これまで半年にわたりビジネスモデルの検討や、運営上の課題をITでどのように解決できるのかなどを話し合ってきました。

オプテージ霜野
「地域活性の潜在的な可能性を持つ子育て世代のママさん。地域を明るくするには、まず彼女たちを元気にすること」と語るオプテージ霜野

「空き家」を拠点に、情報通信会社としてのソリューションを提供

――なぜこのような取り組みを始められたのでしょうか?

霜野:私たちは情報通信会社として光回線やモバイルを提供するだけでなく、お客さまが持っている課題をITで解決するソリューション事業者となることを目指しています。そこで関西に育てられた企業として、地域の方々のためにITで何ができるかを考え、地域の方々と一緒にITの新たな使い道を探していくという取り組みを開始しました。
その手始めが、この空き家プロジェクト。ただ地域が抱える課題は、企業だけが動いても解決しません。行政や地域のみなさんを巻き込んでいく必要があるので、地域で主体的に動いてもらえるマミー・クリスタルさんに参画いただきました。

オプテージ下田平
「自分たちだけでなく、地域活性の根幹に関わる問題を解決することで互いに
メリットが得られる方法を考えるのが私たちの仕事です」と話す、オプテージ下田平

――「空き家」に焦点を当てた理由は?

下田平:空き家はすでに、多くの都市で社会課題となっています。
情報通信会社としての立場からいえば、空き家が増えると光回線の解約が増えます。しかし、空き家を活用できれば、新たな通信やITの需要が生まれる。今回「空き家」に焦点を当てたのは、ソリューション提供者としての取り組みと、情報通信会社としての思いがうまく噛み合ったからというのが大きな理由です。

子育てママが「自分らしくいられる場所」を作るサークル

――そもそもマミー・クリスタルとはどのようなサークルなのでしょうか。

女性起業家 新田昌恵
NPO法人を立ち上げ活躍する新田昌恵さんは、現在、摂津市をはじめ各地域から注目が集まる女性起業家

新田:マミー・クリスタルは子育てママのための習い事サークルです。
私もそうでしたが、ママになっても「習い事がしたい」「自分を磨きたい」と思う方は多くいますし、ハンドクラフトやヨガ・ピラティスなど、資格や特技を持っている人も多い。でも、結婚・出産すると「〇〇ちゃんのママ」として振舞うシーンが増え、自分らしく活躍できる場所が減ってしまうんです。この両者が集まり、学び、活躍する場を作るため、子連れで参加できる習い事サークルとしてマミー・クリスタルを立ち上げました。その後、ママだけでなく地域全体の活性事業をしたいと思い、人材育成と地域活性を目指すNPO法人「摂津まるごとプロジェクト」を立ち上げ、マミー・クリスタルを松田に引き継ぎました。

代表・松田さん
「3年間の代表経験でだいぶ私も鍛えられました(笑)」と語る、代表・松田さん

松田:マミー・クリスタルは、習い事をして自分を磨く「ラーニングマミー」、自分のスキルを生かす「ティーチングマミー」、イベントの最中に子供たちのケアをしてくれる「シッターマミー」の3つの役割で成り立っています。現在、会員は1000人ほど。ママたちは、イベントごとに役割を変えながら活動に関わってくれています。

――子育てママ支援から地域活性まで行う大きな組織へと成長したマミー・クリスタルですが、活動を通して地域に変化はありましたか?

マミー・クリスタルの運営の秘訣をまとめたガイドブック
マミー・クリスタルの運営の秘訣をまとめたガイドブック。要望があれば、無償でこのガイドブックを進呈している

新田:私が感じるのは、行政の変化ですね。今まで行政が地域のための企画を立ち上げる時はシニアを中心にすることが多かったのですが、マミー・クリスタルの活動が盛んになってからは、相談をいただいたり子育て世代の声に耳を傾けてくれるようになりました。

松田:それに加え、さまざまな自治体や企業から声がかかるようになりました。これまでコミュニティを発展させて得た知見をコミュニティガイドブックとしてまとめたり、情報発信のためのSNS活用講座なども開催しているのですが、その取り組みを聞きつけた三重県四日市市や広島県の団体、九州経産局などから講演やガイドブック提供の依頼などをいただいています。
現在も規模が大きくなり続けているほか、企業や行政からの仕事の依頼も増え、運営の負荷も高まってきています。そこで最近は法人化と拠点づくりを考えていたのですが、まさにそのときオプテージさんから今回の空き家プロジェクトにお声がけいただきました。

――オプテージはどのようにしてマミー・クリスタルと出会われたのですか?

オプテージ霜野
「私も以前は摂津に住んでいたのですが、その時はマミー・クリスタルさんのことは知りませんでした。
アンテナを張って調べるって大事ですね」と霜野(右)

霜野:プロジェクトを推進する場所や協力していただける団体を探しているときに、ネットでマミー・クリスタルさんを目にして、活動内容や姿勢に感動してお声がけをしたのが発端です。

松田:最初は「怪しい勧誘じゃないのか」と思ったのですが、社名を聞いて安心しました(笑)。顔を突き合わせてお話したら不信感もなくなりました。

新田:提案内容にも心惹かれましたね。「私らしさを取り戻す」というコンセプトや、空き家を活用した拠点のイメージイラストを見て「私たちのやりたかったことだ!」って感じたんです。タイミングとしても、「運命だ!」と(笑)。

プロジェクトの打ち合わせの後
プロジェクトの打ち合わせの後に、連れ立って空き家探しに出かけることも

霜野:地域活性化の取り組みは、主体的に動いてくれる地域の人がいることがすごく重要です。まちを変える主役は、私たち外の企業ではなくあくまで地域の方。
さまざまな地域の方と話していて気づいたのですが、「ああしたい」「これがあったら」という意見は出てくるものの、「誰がやるか」という段階で止まってしまうことが多いんです。その点、マミー・クリスタルさんは、実行する人物や体制まで考えられる。話を重ねるたびに、私たちの中にも実現イメージが湧いてきて、実行するならここしかないと思いました。

オプテージとマミー・クリスタルが紡ぐ地域活性のシナジー

マミー・クリスタルのミーティング
座談会後には、マミー・クリスタルの運営メンバーも加わり、アプリのアイデア出しが行われた

新田:今までずっと拠点を持つのが夢でした。でも、自分たちだけではハードルが高く、オプテージさんとの出会いで見通しが開けて本当に嬉しいです。
コミュニティを運営するためのアプリも同じ。全国のママから自分の地域でもサークルを立ち上げたいという相談もあったのですが、誰でも簡単にできる運営方法でもないので、よい返事ができずにいました。スマホやアプリの登場で事務的な作業は幾分か簡素化できたのですが、やはり思い通りにはいきません。アプリ開発も考えたのですが、これも多くの費用がかかるので二の足を踏んでいました。でも今回、スペース運営に必要となるITツールとしてアプリ開発をオプテージさんと相談していて、実現できればサークル運営も飛躍的に効率化できます。

下田平:現在はイベント・サロンの予約といった機能を精査している状況で、ほかにも会員管理や店舗とコミュニティの運営に必要な機能なども検討していく予定です。私たちにとっても、地域活性のためのプラットフォームの実証実験のチャンスだと捉えています。

――このプロジェクトが展開されていくことによって、地域にどのような変化が生まれると思われますか?

新田さんとオプテージ
「子供達が誇りを持って好きになれるまちにしたいですよね」と話す松田さん(右)の意見に、大きく頷く新田さん(中央右)とオプテージ

松田:子育て中は行ける場所が限られていて、子連れ向けのお店も少ないまちだと、自然と公共施設しか行き場がなくなってしまう。この状況を変える一助となるのが、この拠点だと思っています。摂津を第一号として発信し、関西から全国へママの拠り所となるコミュニティや場所が広がっていけばいいと願っています。

霜野:このプロジェクトで「この場所があるから摂津に住みたい」と思えるまちづくりができればと考えています。マミー・クリスタルさんが既にそういった存在なのですが、それを後押しする形で、今回の事例をモデルケースとしてほかの地域に展開していきたいですね。

子育てママの夢を叶える拠点の実現に向け、プロジェクトは始まったばかり

霜野:現在は物件を探している最中です。

新田:ママたちの力を生かす場所にしたいという思いがあって、精力的に準備を進めています。
子供のことはもちろんですが、ママたちは自分自身の夢も持っています。この拠点が、それぞれの夢を叶える場所になったら嬉しいですね。

松田:そのために、スタッフたちにもしっかりプロジェクトに参画してもらい、行政の方や自治会長さんも巻き込みながら、毎日のようにまちを歩いて空き家を探しています。

摂津市のカフェ「キッチン 涼花」のフリースペース

座談会は、子連れでもゆっくりできるフリースペースがある摂津市のカフェ「キッチン 涼花」で開催しました

(文/鷲巣謙介 写真/櫟原慎平 撮影協力/キッチン 涼花)

編集後記

プロジェクトを開始して気付かされたのは、パートナー選びの重要性です。
行動力のある新田さん、松田さんをはじめマミー・クリスタルの方々は、一緒に考え意見を出すだけでなく、どうしたら実現できるのか、誰がどう動くべきなのかをしっかりと考えて、プロジェクトに関わってくれます。
さらに、今回のように地域に深く根ざしているパートナーを選ぶことで、地域に接点のないオプテージのような企業でも地域の方や行政に話を聞いてもらえるようになる。現在は、空き家探しなども含めマミー・クリスタルさんに非常に助けられている状況なので、運営に向けてのフェーズでは、IT事業を行う私たちの力を存分に発揮していきたいと考えています。

  • 新田昌恵NPO法人摂津まるごとプロジェクト理事長
    2010年、大阪府摂津市に移住。地域での子育て経験から、子育てママの自分磨きをサポートする習い事サークルマミー・クリスタルを立ち上げる。その後地域活性のための人材育成、子育てママを中心にしたイベント「摂津まるごとマーケット」を運営する摂津まるごとプロジェクトを設立。3児の母。
  • 松田綾子マミー・クリスタル現代表
    2013年に千葉県から大阪府摂津市に移住。地域での育児に行き詰まりを感じているときに、マミー・クリスタルの女性のための起業講座に参加。会場で新田さんと出会い、その場で意気投合。代表として抜擢される。1児の母。
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