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空き家プロジェクトの今。 暮らしが大きく変化する中、オプテージにできることは?

プロジェクト① 空き家があるまちの未来

2020.08.03
空き家プロジェクトの今。
暮らしが大きく変化する中、オプテージにできることは?

今回は、オプテージが昨年度からコ・アップデート関西で集中的に取り組んできた空き家があるまちの未来プロジェクト の進捗状況をお話します。
結論から述べると、昨年末から計画していたアクションプランは、今回のコロナ禍をきっかけに大部分を見直すことになりました。現在進行中の「ちょうどいい」働く場プロジェクトでも頻出していますが、コロナ禍で「リアルな場」の在り方や価値が大きく変容しました。また、働き方の変化や新しい生活様式は、地域コミュニティにも大きな変化を与えていくと考えられます。おそらく一過性ではないだろうこれらの変化は、私たちが進める空き家プロジェクトにも、無視できないほどの大きな影響を与えるものでした。

空き家があるまちの未来プロジェクトを振り返る

まずは空き家プロジェクトについて、コ・アップデート関西で導いたステートメントを振り返りたいと思います。
詳細は2019年の年末に開催した整理ワークショップ の記事に載せていますが、ひとつは「空き家を問題ではなく、可能性として捉える」 こと。そしてもうひとつは、「空き家活用を活性化するには地域のプレイヤー=地域コミュニティの創出、活性化が不可欠である」というものです。

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2019年12月に開催したワークショップの様子。半年間取り組んだ空き家のリサーチ活動から分かったことを整理し、オプテージの活動方針をステートメント化した(写真/櫟原慎平)

専門家インタビューで出会った「空き家は可能性」というキーワードは、元々「空き家=問題、課題」の考えで取材をはじめた私たち にとっては新しい気付きとなりました。特に焦点を当てたのは、都市部や山間部ではなく、いわゆる郊外やベッドタウンの空き家。泉北ニュータウンの再生を取り上げた記事にありますが、人口増加時代のベッドタウン、ニュータウンは「住む」ことを重視して設計されており、まちとしての持続的な成長に必要となる「働く、学ぶ、楽しむ」場がありません。空き家の増加は「住む」需要の低下であると同時に、まちに「働く、学ぶ、楽しむ」場をつくるきっかけにもなりえます。泉北ニュータウンでは行政、市民が連帯して、まさにその動きが起きていました。
また、いくらリソースとして使える空き家が増えても、活用するプレイヤーがいなければ新たな場は生まれません。私たちは、まちに思い入れのある地域住民がひとつのビジョンや目的のもと活動を共にするコミュニティの創出、活性化が不可欠であると結論づけました。

地域コミュニティとともに進めていたアクションプラン

整理ワークショップ以降、本腰を入れて進めようとしていたアクションプランは2つありました。ひとつは、オプテージ自らがプレイヤーとして大阪府摂津市内で空き家を活用した場づくりを行うこと。
摂津市は、私たちが注目していたベッドタウンにあたるまち。共創のパートナーとして、地域活性のキーマンであるマミー・クリスタルさんとともにプランを進めていました。
2020年の年明け以後、マミー・クリスタルさんと子育てママを中心とした地域コミュニティの活動の場となる店舗のコンセプトや具体的な提供サービス、またビジネスモデルや収益計画など継続的に協議を重ねてきました。物件探しも平行して実施。自分たちで足を使った探索を行いつつ、地元の不動産会社さんや自治会さんにも協力をいただき、物件探しを進めました。そして3月初旬頃、ついに候補となる物件に巡り合え、施工に向けて工務店の方にも入ってもらい、リノベーションすべき箇所や店舗のデザインの調整を行っていました。

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主に摂津市における活動のパートナーとして協力いただいているマミー・クリスタルさん。昨年から、リアルな場を共創できないかとミーティングを重ねていた(写真/櫟原慎平)

順調にいけば2020年度早々に、社内承認や物件契約などの事務処理とリノベーション工事を済ませ、夏頃にはトライアル的に店舗運営を開始できるよう計画していました 。

もうひとつのアクションプランは、空き家活用の担い手となる地域コミュニティの創出、活性化のためのITサービスの開発です。
私たちはコ・アップデート関西の活動を通して、さまざまな地域コミュニティの方と接点を持ち、それぞれの課題に触れてきました。コミュニティ運営上の困りごとだったり、PRや外部人材の巻き込み方だったり、資金面だったり。コミュニティごとに異なるものもあれば、共通する課題もあります。
そのような地域コミュニティが抱える課題を解決する、アプリやプラットフォームの開発を計画していました。

コロナ禍をきっかけに変わった「リアルな場」や「会う」価値

こうして進めていた2つのアクションプランですが、コロナ禍により状況は一変。
まず摂津市内の場づくりは、そもそも「リアルな場」を保有し、運営することのリスクが急激に高まりました。緊急事態宣言が解除され外出自粛が緩まった現在(2020年7月15日時点)においても、ソーシャルディスタンス を考慮した場の運営が必須となり、コロナ禍以前に描いていた集客、事業計画は意味をなさなくなりました。
一方で地域における「リアルな場」に求められる機能にも変化の兆しが見られます。進行中の「ちょうどいい」働く場プロジェクト で取り扱う話題がまさにそれですが、例えば在宅勤務が定着することで、自宅近郊のワークスペースの需要が増えたり、オンライン配信をするためにスタジオ機能に特化したリアルな場が必要だったり、今までのようにコミュニティで集まってイベントやワークショップをする以外のリアルな場の用途が生まれつつあります。またオンライン主流の世の中だからこそ、リアルで「会う」ことの価値も見直されています。顔見知りの人だけでなく、新しい人との出会い、コミュニケーションが生まれる場がより求められるようになるのではないでしょうか。

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商店街活性化を目的に空き家を改修されたホテル「講 大津百町」 の取材時には、商店街に入ってきた谷口工務店さんが、どのように地域の方とつながりを作られたのかを伺った (写真/櫟原慎平)

地域コミュニティの活動においても、オンライン化は著しく進んでいます。これまでオフラインで開催されていたイベントやワークショップの多くは、中止ではなく、オンラインで開催する道がこの短期間で模索されてきました。収益についても、イベント参加費だけでなくオンラインサロンや座談会などさまざまな形態で得る仕組みが試行錯誤されています。
もうひとつはプレイヤーに見られる変化の兆しです。在宅勤務、リモートワークがある程度定着すれば、今まで通勤していたいわゆるオフィスワーカー が、地域に滞在する時間が長くなります。 通勤に費やしていた時間を、趣味や自己啓発だけでなく、地域や社会貢献のために使いたいという人たちも増えてくるのではないでしょうか。そうなると、地域コミュニティのプレイヤーはこれまで以上にさまざまな職種、業種の方たちが入り混じった形に変化していくのではと感じています。

このようにコロナ禍におけるさまざまな変化が目の前で起こる中、beforeコロナの価値観によるコンセプトのままプロジェクトを進めることを一旦止め、withコロナ/afterコロナにおける リアルな場の価値や地域コミュニティの在り方の変容を、もっと深く把握したうえでプロジェクトを再考することにしました。
空き家を「可能性」と捉えたように、コロナ禍は社会が大きく変わる「機会」でもあります。その変化を捉え、新しい時代の課題、ニーズにフィットする、最適なソリューションを今後も突き詰めていきます。本プロジェクトの事業化に向けたアクションについてはコ・アップデート関西で引き続きレポートしていきます。

(文/オプテージ 霜野佑介)

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プロジェクト①空き家があるまちの未来

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