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【活動レポート】思い込みを乗り越え、使いこなせるように。 「製造現場で求められるDXの本質」探索から導き出した視点

プロジェクト③ 製造現場で求められるDXの本質

2021.09.27
【活動レポート】思い込みを乗り越え、使いこなせるように。「製造現場で求められるDXの本質」探索から導き出した視点

「空き家があるまちの未来」「ちょうどいい"働き方・働く場」に続く「コ・アップデート関西」3つめの探索テーマは「製造現場で求められるDXの本質」。デジタル庁の発足をはじめ国や自治体の目標に掲げられるなど、DXはビジネスパーソンを中心にいまやバズワードになっています。適用範囲の広い概念ですが、私たちはその中でも中小企業の「製造現場のDX」に注目しています。比較的導入が進んでいないものの、企業の価値創出が行われる「現場」のデジタル化はインパクトが大きく、ポテンシャルも高いのではと考えました。

本記事ではテーマの探索で行った取材記事を振り返り、また取材のあとにプロジェクトメンバーで行った対話と思考のプロセスを紹介し、最後に現時点でたどり着いた「製造現場で求められるDXの本質」についての考え方をまとめました。

ドイツと日本、ものづくりの国の違いから見える製造現場の「思い込み」

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最初にお話しを伺ったのは、中小製造業のDXに詳しい経済産業研究所の岩本晃一さん。日本の中小製造業の大きな特徴としてその多くが大手企業の子会社や関連会社に位置付けられ、硬直化した構造を指摘します。翻って岩本さんの研究対象であり、第四次産業革命を実現したドイツの製造現場では、事業戦略やマーケティングまでを日本でいう中小にあたる製造業の事業者が一貫して行い、力強いものづくり産業を実現しています。こうした環境は一朝一夕で変えられるものではないですが、メンバーの視野を広げました。

また岩本さんが直接対話をされている現場のお話しからは、地域の支援組織など適切な相談相手がいないこともあり、DXへ一歩を踏み出したい経営者が数々の「思い込み」で二の足を踏む状況が明らかになりました。こちらは最後にご紹介する現時点での我々の考え方に大きな影響を与えています。

人と技術とデジタルをつなげていく、お互いの信頼関係の築き方

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次のステップではより具体的な現場の声を聞きました。自動車分野などでパイプ加工を手掛ける武州工業の会長・林英夫さんと、製造業に特化したコンサルティングを行うO2の会長兼社長CEO・松本晋一さんの対談です。経営者であるお二人は、中小製造業現場の共通課題とされる人材不足、なかでも技術伝承に関する課題をデジタル活用で解決されています。

両者はともに作業工程をデジタル化する仕組みやツールを内製しています。自分たちにとっての課題や利用価値を誰よりも理解している点、またその後の運用を考えての判断は本質的ですが、いざ実践できる環境づくりにこそ大きなヒントがありました。ともすれば職人の技術や暗黙知を神格化してしまいがちなところ、あえてその技術をデジタルの仕組みを使いながら「たいしたことない」ものとして共有してしまう。ここでも「思い込み」を塗り替えることで、ベテラン、若手ともに次のステップに踏み出し、より人間らしく生き生き働くという大きな目的を実現しています。技術や方法論に縛られない、お二方の柔軟な姿勢にも感銘を受けた取材でした。

現場の安心・安全を経営につなげる、技術と対話の重要性

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次の探索では製造現場のデジタル活用による「安心・安全」をテーマに臨みました。オプテージではすでにウェアラブル端末によるバイタル管理で現場のリスク低減を目指す「みまもりWatch」というソリューションを提供しています。この取材では作業員の負担軽減に着目したパワードウェアを手掛けるATOUNの代表・藤本弘道さんと、労災事故防止を目的としたAIサービスを提供するLightblue Technology代表・園田亜斗夢さんにお話しを伺いました。

最新の技術を用いて現場のデジタル化を支援する両者。創業者の熱い思いを感じる一方で、提供するソリューションの先進的なイメージゆえに顧客との期待値調整が重要なのだそうです。コロナ禍で展示会などのショーケースや実際に体験する機会が失われる難しさはありながら、逆にじっくりと事前期待や提供価値のすり合わせを行い、意欲的な企業との取り組みでより成果も出ているとのこと。単にソリューションを提供するのではなく、導入の前から伴走するような支援が求められているのは三件の取材を通じて感じられましたが、明快な技術力を持ったベンチャー二社のお話しにも通底する要素でした。

取材での気づきを反芻し、捉えなおしたプロセスを振り返る

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今回のプロジェクトでは取材後のステップを丁寧に積み重ねて進めました。メンバーは取材時に、取材前に考えていたことと取材後の気づきを対比できるような「取材ノート」を片手に参加。ノートを元にした振り返りでは、各自の気づきをシェアしながら対話し、多様な角度からの視点を得ることができました。

中小製造業の現場におけるDXについて、経営視点、市場の観点、現場ならではの本音と気づきの幅は広く集めることができました。これらをトピックごとにグルーピングし、分析・解釈をします。課題に対してアイデアを当て、よりよい製造現場のDXのあり方に向けた仮説、問いを抽出。さらに議論を重ね、現時点での私たちが考える「製造現場で求められるDXの本質」を以下のようにまとめました。

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そしていちITベンダーとしては単にソリューションを開発し、納品して終わるのではなく、そのサービスを社内で浸透し、活用し続けていくための支援・伴走も併せて提供できるようなパートナーとしての姿勢で臨みたいと考えます。今回の探索で得た視点を活かし、具体的なテーマでの深掘り、具体的な実践を見据えて歩みを進めていきます。

プロジェクト②”ちょうどいい”働き方・働く場

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プロジェクト①空き家があるまちの未来

空き家や空きスペースを起点に、人口減少時代のまちづくりを考える

リサーチ関西から考える未来のビジネス

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